【ドイツ語文法】非人称表現

Sie sehen ja dort drüben ein Haus.
Das Haus gehört Herrn Hoffmann.
Ich glaube, es kostet gut 100000 Euro.
あそこに家が1軒見えるでしょう。
あの家はホフマンさんのものなんですけどね。
あれは軽く10万ユーロはすると思いますよ。

例文で使われている es は先行する文の中の名詞 das Haus を受ける人称代名詞であり、文の主語となっていることはもうお分かりでしょう。それでは次の例文の中で使われている2つの es はどうでしょうか。

In der Schweiz ist es wechselnd wolkig.
Am Nachmittag gibt es Regenschauer und vereinzelt Gewitter.
Die Temperatur steigt auf 26 bis 31 Grad.
スイスでは晴れ時々曇り。
午後にはにわか雨があり、ところによって雷雨となるところもあるでしょう。
気温は26度ないし31度くらいまで上がるでしょう。

2つの es もそれぞれの文の主語となっていますが、es が何を指しているか、はっきりとそれを特定できません。この2つの es は主語となるものが特定の事物でない場合や特定の主語が不必要な場合に用いられるものなのです。このような es を「非人称の es 」もしくは「非人称主語」と呼んで、特定の人や事物を表す主語と区別しています。英語で言うと天候、時間、距離、一般的な漠然とした状況を表したりする it の用法に相当しますので、それほど難しい用法ではありません。

非人称主語 es を用法別に分類すると以下の通りです。

  1. 自然現象
  2. 時間・距離
  3. 心理・生理現象
  4. 非人称熟語の形式主語
  5. その他

自然現象

非人称動詞で表す自然現象

regnen, schneien, blitzen, donnern, hageln, nebeln などの天候を表す動詞は「非人称動詞」と呼ばれ、普通は非人称主語 es と共に用いられます。したがって人称変化も3人称単数であることがほとんどです。

Es regnet in Strömen.
土砂降りの雨が降っている。
Es schneit unterbrochen.
こやみなく雪が降っている。
Konfetti regnet.
紙吹雪が舞う。

非人称動詞は辞書では imp.(非人称)などと表記されています。また本来非人称動詞ではなくても、上記のような印があれば非人称動詞的用法があることを示します。

sein, werden の非人称動詞的用法

sein や werden が非人称主語の es と共に用いられ、天候などの自然現象を表す用法です。

天候

Es ist warm.
暖かい。
Es wird warm.
暖かくなる。
Es ist kalt.
寒い。
Es wird kalt.
寒くなる。
Es ist heiß.
暑い。
Es wird heiß.
暑くなる。
Es ist kühl.
涼しい。
Es wird kühl.
涼しくなる。
Es ist schwül.
蒸し暑い。
Es wird schwül.
蒸し暑くなる。

季節

Es ist Frühling.
春です。
Es wird Frühling.
春になる。
Es ist Sommer.
夏です。
Es wird Sommer.
夏になる。
Es ist Herbst.
秋です。
Es wird Herbst.
秋になる。
Es ist Winter.
冬です。
Es wird Winter.
冬になる。

自然現象

Es ist dunkel.
暗い。
Es wird dunkel.
暗くなる。
Es ist hell.
明るい。
Es wird hell.
明るくなる。

臭いや音などの主体のはっきりしない現象

匂い

Es riecht gut.
いい匂いがする。
Es riecht übel.
嫌な匂いがする。
Es riecht nach Fisch.
魚の匂いがする。

Es klopft an die Tür.
ドアをノックする音がする。
Es klingelt.
ベルが鳴っている。

時間・距離

Wie spät ist es? - Es ist 15.30 Uhr.
何時ですか? - 15時30分です。
Wie lange dauert es mit der U-Bahn? - Es dauert etwa eine halbe Stunde.
地下鉄で行くとどれくらいかかりますか? - 30分くらいかかります。
Meine Studentenzeit? Es ist schon lange lange her.
私の学生時代?それはもう遥か昔のことだよ。
Wie weit ist es bis zum Bahnhof? - Es ist ungefähr 500m.
駅までどれくらいの距離ですか? - 約500メートルです。

心理・生理現象

心理現象や生理現象を表現する時も、非人称の es を主語にして非人称表現を用います。この場合、これらの現象が起こる実質上の主体は3格ないし4格の人称代名詞や名詞によって示されます。

なお、心理・生理現象の非人称主語の場合、es は文頭以外では省略されます。(心理・生理現象以外の非人称主語の場合、es は文頭以外でも省略されません。)

心理現象

Es graut mir vor dem Deutschlehrer.
= Mir graut vor dem Deutschlehrer.
私はあのドイツ語教師を見るとゾッとする。
Es bangt dem Studenten vor der Prüfung.
= Dem Studenten bangt vor der Prüfung.
その大学生は試験のことを考えると不安でならない。

不安の対象を表す vor

Das Kind hat Angst vor dem Wasser.
その子は水を怖がる。

自然現象の es は省略できない。

Es gentet heute.
= Heute regnet es.
今日は雨が降っています。

生理現象

Es friert mich an den Füßen.
= Mich friert an den Füßen.
足が冷える。
Es ekelt mir vor der Küchenschabe.
= Mir ekelt vor der Küchenschabe.
ゴキブリがいやでたまらない。
Es ist mir übel.
= Mir ist übel.
私は気分が悪い。

ただし、非人称主語の es と sein, werden を用いて心理、生理現象を表す場合、実質上の主体は必ず3格になります。

Es ist mir kalt.
= Mir ist kalt.
寒いです。

非人称熟語の形式主語

非人称の es を形式上の主語として使った慣用表現もかなりの数がありますが、ここではそのうち特に重要なものを紹介しておきましょう。

es geht D Dの調子は〜である

Wie geht es Ihnen? - Danke, es geht mir gut. Und Ihnen?
調子はどうですか? - ありがとう、私は元気です。あなたは?

es geht D um A DにとってはAが重要である

Es geht ihm nur ums Geld.
彼にとってはお金だけが重要である。

es handelt sich um A Aが問題である

Beim Gipfeltreffen handelt es sich um die Abschaffung der Atomwaffen.
サミット会議で問題となっているのは核兵器の廃絶である。

es gibt A Aがある

In Japan gibt es viele Badeorte.
日本にはたくさんの湯治場がある。

その他の主語がはっきりしない場合

次にあげる表現も一種の慣用表現です。このままの形で覚えてしまうのがよいでしょう。漠然とした状況などを表す es とでも言えるかもしれません。

es schmeckt D Dにとって〜の味がする

In diesem Restaurant schmeckt es mir gut.
このレストランは美味しい。

es gefällt D Dの気にいる

Es gefällt mir sehr in Bremen.
ブレーメン(での暮らし)がとても気に入っています。
Die Stadt Bremen gefällt mir sehr.
ブレーメン(という町)がとても気に入っています。

es tut mir leid 申しわけありません・お気の毒に・おあいにくさま

Es tut mir Leid, aber ich habe keine Zeit.
申しわけありません、でも時間がないんです。
Es tut mir leid um ihn.
私は彼が気の毒だ。

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